男性の方へ

女性の尿に関する主なお悩みが「膀胱炎と尿失禁」とすると、男性の尿のお悩みで最も多いのは「前立腺肥大症」と言えるかと思います。
現在、前立腺肥大の治療が必要な患者様は約280万人、泌尿器科を受診してはいないが症状はある方など、潜在的な患者様を含めると約600万人にも達すると言われます。
また、「日本人よりも欧米人の方が前立腺肥大になりやすい」という統計結果があるように、若いときからの食生活、特に脂肪の多い食事も原因の一つと考えられ、今後、前立腺肥大症の患者様がより増加するものと予想されます。
前立腺肥大症の検査
前立腺肥大症は年齢と深い関係にあり、40代で症状が出始め、50歳以上の3~4人に1人、70~80歳台では10人のうち7~8人が前立腺肥大症の傾向があると言われています。
前立腺肥大症の症状


前立腺は男性にのみ存在する組織で、精液の一部となる前立腺液を分泌する働きがあります。膀胱のすぐ下にあり、尿道を囲む形で存在します。大きさは胡桃ほどで20g位の重さが正常ですが、肥大が進むと蜜柑ぐらいの大きさで、重さは60g以上にもなります。
男性は40歳代から、男性ホルモンの低下の影響でだんだん前立腺が肥大し、加齢とともにあらわれる男性更年期障害の一つです。問題は前立腺が肥大すると、中を通っている尿道が圧迫され、尿の通り道が狭くなってしまうことです。そして、膀胱に溜まった尿がうまく出ないために、様々な弊害が出てきます。
1. 尿が出るまでに時間がかかる
正常な方は30秒程度ですが、前立腺肥大の方は60秒近くかかります。
2. 尿に勢い・キレがない
尿がチョロチョロとしか出ず、終わりはキレが悪い為に便器やズボンを汚すこともあります。
3. 残尿感がある
排尿をしても膀胱から全ての尿が出ないため残尿感が残る。
その他…
- 何度もしたくなる(頻尿)
- 急にしたくなる(尿意の切迫)
- 夜中にしたくなる(夜間頻尿)
- 我慢できず、漏れてしまう(失禁)
などがあり、40歳以上の男性の方なら、一つくらいは思い当たる節があるのではないでしょうか?
これらの症状は、直接生死に関わるわけではありませんが、QOLという点で考えれば一刻も早く改善したい症状の一つです。また、全く尿の出ない状態になると、激痛とともに腎臓自体にも影響が現れ、急性腎不全、尿毒症などの重要な病気に発展する例もありますので、早いうちの予防が大切です。
前立腺肥大症の検査
問診 | 他の病気と区別するために、どんな自覚症状があるか、これまでどんな病気をしたかなどについてお話を伺います。 |
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尿の流量測定 | 機械に接続されている特殊な便器にむかって排尿することで、排尿時間や勢いを測定、グラフ化します。 |
超音波診断 | 前立腺の大きさや形状を確認します。残尿のおおよその量も推定できます。 |
血液検査 | 前立腺がんでないかどうか、血液検査(腫瘍マーカー/PSA)をします。 |
いずれの検査も痛みを伴うものではありませんので、どうぞご安心下さい。
前立腺肥大症の治療
基本的には、治療は前立腺による尿道の圧迫を減らす薬を使いますが、必要に応じてホルモン剤や漢方薬を併用することもあります。
尚、薬で思うように症状が改善しない場合は内視鏡手術)などをお勧め致します。